
かなーり前に買ったにも関わらず、感想をUPするのを忘れていた・・・・さくらん(漫画)を紹介したいと思います。
まず、原作者・安野モヨコさんの作品は見たことなかったです。これがはじめて←
最初読んだときは、
構図のメリハリのなさと絵の汚さで全く内容が分かりませんでした。
只でさえ、廓の中の物(着物だったり)は派手で華やかなものが多いので、構図がきちっとしてないと、そして絵がはっきりしてないと分かりにくいのです。ごちゃごちゃしちゃうんだよね。おまけにおんなじ顔の人が何回も出てくるし(キャラは違うのに、顔が一緒なんだよなぁ)、区別がつきにくくって、なんじゃこりゃ!?って感じでした。
話が分かりにくかったもうひとつの理由としては、廓詞(ありんす詞、花魁詞とも言う)が頻繁に出てくるので、それを理解していなかったのもあります。また、廓の中での特別なしきたりや用語など、今の時代には全くない文化ですから、事前知識がなければ全く話が理解できません(惣仕舞とか、身請けなんか特に)。
これから見る気でいる!って方は、是非事前情報を集めてから、そして用語をある程度把握してから見ることをお勧めします(まとめサイトとかもちゃっかりあるので)。
用語や時代が分からん!と思い、ネットで引っかけたり大きな本屋に足を運び、昔のふるーい辞書などで用語を探して、事前情報をきっちり把握した上で読んだら、
まぁおもしろいこと。
この本の帯には、「男の極楽、女の地獄」と書いてあるのですが、全くその通りで、そんな世界が広がっています。
花魁という職業は、今で言う風俗とは全く異なり、器量も華もなければなれなかった職業でした。
お琴、唄、将棋、舞・・・その当時の娯楽は全て小さい頃(禿と言う)で教え込まれ、手練手管も寝技も全て覚えた上で、やっとなれるのが遊女。売れっ子=花魁になるには、また違った魅力がなきゃいけない。みんながみんな花魁になれるわけじゃないんです。そんなわけで、花魁はそんじょそこらの遊女とは格が違う。
だけど皆なりたくて花魁を目指してるいうよりかは、その世界しか知らないから花魁を目指すしかない、という感じ。
別に来たくて小さい頃に廓に行くわけじゃなく、親が死んだとか、金がないとか言う理由で廓という閉鎖された場所に突っ込まれるわけです。
その中で、勝手に大人に技を教え込まれ、年頃になったからといって好きでもない男と一夜を共にしなければならないという世界。
その世界しかしらないんだから、その中で1番になってやると思うのは当然のこと。
だけど結局花魁になったとして、幸せかといえばそうではないかもしれない。
男は綺麗だなんだって言って花魁によってくる。当の本人は好きな人と暮らすことも自由に会うこともできず、廓の中で生きるのみ(廓を出れるのは身請けのときだけ)。
自分が女だということを認めるのは、時としてつらいことだったりもする。
それを花魁という職業を通して如実に表したこの漫画は傑作だと思う。
今も昔も、男尊女卑という言葉がある昔もある今も、男性がいて女性がいるのは変わりないこと。
「男のくせに」「女のくせに」という言葉が頻繁に使われるここ日本で、女性という生き物が生きにくい時っていうのは非常に多いと思います。
今よりもきっと女が生きにくかっただろう時代を生きたこの漫画の主人公、きよ葉は閉鎖された場所・廓に小さな頃から出て行きたいと思い描く。
だけどどこへ行けど同じ事と悟り、自身で廓に戻ってきて、自分自身に目をそらさず女として生きるきよ葉はすっげぇかっこいい。
"粋"って言葉はもう死語になりつつあるけど、皆実際"粋"って言うものに憧れを感じていると思う。
見た目だけがいいものはそこら中に転がっているけど、中身がなかったら不味くて食えない。
だからこそ、「中身がないのにあるフリをするより、中身があるのにないフリをするほうが粋というもの」と言うきよ葉に共感もするし、憧れるのだと思う。
女性はこの漫画、必見だと思います。
花魁についてや、さくらんについてはコチラを見ると分かりやすいです→http://sakuran.gahou.jp/
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